i3 for Mac:macOSでi3・swayにいちばん近い環境

i3はX11のウィンドウマネージャー、swayはWaylandコンポジターなので、どちらもMacでは動きません。それでも、ワークフローはMacで再現できます。i3のどの部分にどのmacOSツールが対応するのか、概念ごとに整理しました。

結論

i3とswayはmacOSでは動きません。i3のモデル(手動のツリー型タイリング、ワークスペース、すべてキーボードで操作)がほしいなら、Macでいちばん近いのはAeroSpaceです。無料で、自ら「i3-like」(i3風)と名乗っています。GlazeWMも今ではmacOSで動き、yabaiはBSP方式でタイル配置します。i3で本当に気に入っていたのがマウスに手を伸ばさずに済むことと、ウィンドウが置いた場所から動かないことなら、ChainYourMacのようなスクロール型ウィンドウマネージャーのほうが合うかもしれません。

ここで実際に操作できます。動画ではなく、本物どおりに動くChainYourMacの模型です。

動画ではなく、実際に動くChainYourMacの模型です。タイトルバーをドラッグして並べ替え、Dockのアイコンをクリックしてアプリを開き、赤いボタンでウィンドウを閉じられます。実際のアプリでは、各キーと一緒に ⌃⌥ を押します。このデモはどちらの押し方にも反応します。

  • Appleの公証済み
  • Developer IDで署名
  • アカウント不要、アプリからの利用データ送信なし
  • 必要な権限はアクセシビリティのみ
  • 自動アップデート

なぜi3とswayはMacで動かないのか

i3は、GNU/LinuxとBSD向けの「improved tiling X11 window manager」(改良版のX11用タイル型ウィンドウマネージャー)です。swayはそのWayland版で、Linux用の「i3-compatible Wayland compositor」(i3互換のWaylandコンポジター)です。どちらもLinuxの表示スタックに依存しています。macOSには独自のウィンドウサーバーがあり、サードパーティのアプリがそれを置き換えることはできません。

そのため、Mac用の選択肢はどれも別の種類のプログラムです。macOSのアクセシビリティAPIを通じてほかのアプリのウィンドウを動かす普通のアプリで、描画はすべてAppleが担当したままです。どれもi3をそのまま置き換えるものにならないのは、このためです。それぞれがi3のモデルの一部を再現し、「ウィンドウを画面外へ完全に押し出せない」といったmacOSのルールと折り合いをつけています。

まず、i3のどこが恋しいのかを見極める

「Macでi3を使いたい」という言葉は、たいてい次のどちらかを意味しています。

  1. i3のモデルそのもの。手で組み立てる分割のツリー、番号付きのワークスペース、タブ付き・スタック型のコンテナ、そしてdotfilesで管理するプレーンテキストの設定。忠実なコピーがほしいタイプです。
  2. i3で得られた感覚。手はキーボードの上、どのウィンドウにもキー1つで届き、ウィンドウが重なってごちゃごちゃしない。ツリーや分割にはあまりこだわらないタイプです。

1に当てはまるなら、AeroSpaceかGlazeWMを選びましょう。2に当てはまるなら、このまま読み進めてください。スクロール型タイリングという新しいモデルのほうが、どんなi3クローンよりも合うかもしれません。

macOSで使えるi3風の選択肢

AeroSpace:i3にいちばん近い

AeroSpaceは自らを「i3-like tiling window manager for macOS」(macOS向けのi3風タイル型ウィンドウマネージャー)と説明していて、i3と同じくツリーを使います。無料(MIT)で、macOS 13以降が必要、SIPに手を加える必要は一切ありません。設定は~/.aerospace.tomlで行い、プロジェクトは「will never have a configuration GUI」(設定用のGUIは今後も作らない)と明言しています。設定ファイルで考えるタイプの人には、むしろ長所です。

知っておきたい点もあります(2026年9月時点、v0.21.3-Beta)。まだパブリックベータで、1.0までは互換性のない変更があり得ると注意書きがあります。また公証(notarization)を受けていないため、Homebrewのcaskでインストールします。さらに、macOSの操作スペースは使わず、独自にエミュレートしたワークスペースを使います。非アクティブなワークスペースのウィンドウは、画面の隅に退避されます。詳しくはChainYourMac vs AeroSpaceとAeroSpaceの代替(いずれも英語)をご覧ください。

GlazeWM:macOSに新登場

GlazeWMは「inspired by i3wm」(i3wmに影響を受けた)ウィンドウマネージャーで、v3.10.0(2026年3月16日)でクロスプラットフォームになるまではWindows専用でした。ライセンスはGPL-3.0で、brew install --cask glzr-io/tap/glazewmでインストールできます。Mac版はまだ数か月の歴史しかないので、毎日の作業で頼る前に、READMEと未解決のissuesを確認してください。

yabai:BSPタイリング

yabaiはバイナリスペースパーティショニング(BSP)で自動的にタイル配置します。i3よりもbspwmに近い方式です。ホットキー機能は内蔵しておらず、skhdなどのホットキーツールと組み合わせて使います。タイリングはSIPを有効にしたまま動きますが、操作スペースの管理などの追加機能にはSIPの部分的な無効化が必要です(詳しくはこちら・英語)。

i3の概念をMacに置き換えると

下の表は、i3の考え方がAeroSpaceとChainYourMacでどう対応するかを示しています。ChainYourMacのショートカットは新規インストール時の初期設定で、どれも割り当てを変更できます。

i3 / swayAeroSpaceChainYourMac
$mod + 方向キーでフォーカス移動TOML設定で自分で割り当て⌃⌥H/J/K/L または ⌃⌥ + 矢印キー
$mod+Shift + 方向キーでウィンドウ移動TOML設定で自分で割り当て⌃⌥⇧H/J/K/L または矢印キー
レイアウトのモデル分割のツリー(i3風)列が並ぶ、果てしない横方向のストリップ
タブ付き/スタック型のコンテナアコーディオンレイアウトタブ付きの列(⌃⌥⇧T)とスタック(⌃⌥] / ⌃⌥[)
リサイズ設定のキー割り当てで⌃⌥Rでプリセット幅を切り替え、⌃⌥= / ⌃⌥−で幅を広く/狭く
ウィンドウを全画面に設定のキー割り当てで⌃⌥Fで全幅
フローティングの切り替えREADMEを参照⌃⌥T
ワークスペース独自にエミュレートしたワークスペースmacOSの操作スペースと連携、ディスプレイごとに1本のストリップ
設定~/.aerospace.toml、GUIなしGUI(TOMLファイルもありますが、編集する必要はありません)
価格無料、MIT$19.99(買い切り、永久ライセンス)

いちばん大きな違いは、レイアウトのモデルです。i3ではコンテナを手で分割し、新しいウィンドウはそのたびに隣のウィンドウから場所を奪います。ChainYourMacは何も分割しません。新しいウィンドウはストリップに新しい列として加わるので、ほかのウィンドウが縮むことはありません。

もう1つの選択肢:分割をやめて、スクロールする

i3を使う普段の1日が、画面にウィンドウ2〜3枚、残りはほかのワークスペースやタブにしまってある、という形なら、スクロール型タイリングが合うかもしれません。NiriやPaperWMの土台になっているモデルで、分割の管理という手間がなくなります。ウィンドウは果てしなく続く横長のストリップに並び、1枚開いてもほかのウィンドウがリサイズされることはありません。ストリップの上は、キーボードかトラックパッドのスワイプで移動します。

ChainYourMacは、macOS 13 Ventura以降を搭載したAppleシリコン(M1以降)のMac向けの、ネイティブなスクロール型ウィンドウマネージャーです。Rustのエンジンを持つSwiftUIアプリで、Appleの公証を受けており、SIPの変更は一切必要ありません。i3ユーザーにとって引き継げるポイントは次のとおりです。

  • 初期設定からVim風のキー。⌃⌥H/J/K/Lでフォーカス移動、⇧を加えればウィンドウの移動です。ショートカットの記録はAZERTY、QWERTZ、Dvorak配列にも対応し、1つの操作に複数のショートカットを割り当てられます。
  • タブとスタック。複数のウィンドウを1つの列にスタックしたり、列をタブ表示にしたりできます。i3のスタック型・タブ付きレイアウトで使っていた用途をカバーします。
  • アプリごとのルール。タイル配置すべきでないアプリはフローティングに。i3のfor_windowルールと同じ感覚です。
  • スクリプトで操作可能。chainyourmac CLI、chainyourmac:// URLスキーム、Raycastのスクリプトコマンドがあります。

正直にお伝えしておくべき制限もあります。有料で、クローズドソース、Appleシリコン専用です。また、macOSはどのアプリにもウィンドウを画面外へ完全に押し出すことを許していないため、隠れたウィンドウのごく一部が画面下の隅に見えることがあります(「Gap at Screen Edges」を0にすると、ほぼ見えなくなります)。決める前にモデルを体験してみたいなら、このページのライブデモを試してください。動画ではなく、実際に動くChainYourMacのモデルです。

無料のスクロール型を探しているなら、OmniWM(英語)がNiri風のスクロールに加えてBSPレイアウトも備えていますが、macOS 26 Tahoeが必要です。Linuxでは、dawsers/scrollがPaperWM風のレイアウトを持つswayのフォークなので、両方のマシンでスクロール型を使いたい場合の選択肢になります。

結局どれを選ぶべき?

AeroSpaceがおすすめなのは…

  • Macで実現できる範囲で、i3のツリーモデルをできるだけ原作に近い形で使いたい人
  • TOMLファイルの編集やHomebrewでのインストールに抵抗がない人
  • 無料でオープンソースであることを重視する人

GlazeWMを試してみるとよいのは…

  • すでにWindowsで使っていて、Macでも同じツールを使いたい人。macOS版がまだ若いことを受け入れられる場合に。

yabaiがおすすめなのは…

  • 分割を手で組み立てるより、BSPで自動的にタイル配置してほしい人

ChainYourMacがおすすめなのは…

  • i3を気に入っていた理由が、ツリーではなくキーボード操作だった人
  • 新しいウィンドウを開くたびに、既存のウィンドウが押し縮められることにうんざりしている人
  • 設定ファイルのリポジトリではなく、macOS標準の操作スペース、トラックパッドのスワイプ、GUIで使いたい人

i3のようにキーボードで。ストリップのように穏やかに。

⌃⌥H/J/K/Lで移動し、ウィンドウが勝手に並び直されることはありません。設定はすべてGUIで。SIPの変更も、保守すべき設定ファイルも不要です。

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よくある質問

i3をmacOSにインストールできますか?

いいえ。i3はGNU/LinuxとBSD向けのX11用タイル型ウィンドウマネージャーで、macOSのデスクトップはX11を使っていません。swayはLinux用のWaylandコンポジターなので、こちらも動きません。Macでは、ワークフローを再現するツールを使います。自ら「i3-like」(i3風)と名乗っているのはAeroSpace(英語)です。

Macでいちばんおすすめのi3の代替は?

i3のツリー型タイリングとワークスペースがほしいなら、AeroSpaceを試してみてください。無料で、i3風、設定はTOML、SIPの変更も不要です。気に入っていたのが「マウスに触れず、ウィンドウが置いた場所から動かないこと」なら、ChainYourMacのようなスクロール型ウィンドウマネージャーを試してみてください。ウィンドウを開いても、ほかのウィンドウがリサイズされることはありません。

Mac版のswayはありますか?

いいえ。swayはi3互換のWaylandコンポジターで、macOS自身のコンポジターは置き換えられません。Macでの選択肢はi3の場合と同じです。従来型のタイリングならAeroSpace、GlazeWM(2026年3月からmacOSで動作)、yabai。スクロール型ならChainYourMacかOmniWMです。

GlazeWMはMacで動きますか?

はい。v3.10.0(2026年3月)からGlazeWMはクロスプラットフォームになり、brew install --cask glzr-io/tap/glazewmでインストールできます。macOS版はまだ新しいので、お使いの環境で何が動くかはREADMEとissuesで確認してください。

Macでi3風のタイリングを使うのに、SIPを無効にする必要はありますか?

いいえ。AeroSpaceはSIPの変更を一切必要とせず、ChainYourMacも同様です。yabaiのタイリングもSIPを有効にしたまま動きます。SIPの部分的な無効化が必要なのは、操作スペースの管理やウィンドウのアニメーションといった一部の追加機能だけです。詳しくはyabai without SIP(英語)をご覧ください。